本格的なウエイトやトレーニングジムで行われるトレーニングの紹介です。
ウエイトトレーニングについては、すでに既存のYouTubeにある動画がわかりやすいので、今回はそちらを引用しています。
柔軟性や基礎筋力が身についたら、今度はウエイトやパワー系トレーニングで爆発的な力を養っていきましょう。
①バスケ選手にまず必要【脚トレーニング】
バスケというスポーツは、床から生み出される力を利用した効率的な動きが求められます。
ジャンプ・加速・減速・方向転換など
そのため、脚をしっかり鍛えると最短の時間で最大の力を床に対して出力できるようになり、爆発的なプレーが可能になります。
下半身の筋力強化は、バスケ能力を向上させるだけでなく、怪我を予防しつつ持っている能力を長期にわたって発揮するために重要です。
おすすめの脚トレーニング
【バックスクワット】
バスケにおける効果
加速能力とジャンプ能力の向上。ボックスアウトなどの競合いにおけるポジション取りの安定性を高める。
【フロントスクワット】
バスケにおける効果
動作中に上半身をよりまっすぐな姿勢に保つことができる。プレー中の加速と減速、方向転換能力UP。
【デッドリフト】
バスケにおける効果
筋出力、加速力の向上、ジャンプなどレイアップ動作が上手くなる。ボックスアウト、ボールの受け取り、リバウンド、ゴール下のプレーにおける安定性向上。
【ルーマニアンデッドリフト】
バスケにおける効果
肉離れや靭帯損傷の予防と関連のある大腿の前面と後面の筋力バランス維持。ディフェンス姿勢の安定性や反応動作も高まる。
【ヒップスラスト】
バスケにおける効果
ジャンプ力と加速して相手を抜くスピードが高まる。すばやい減速やカッティングで相手を引き離すのにも役立つ。
【リバースランジ】
バスケにおける効果
加速能力とジャンプ力の向上。バランスと固有受容感覚(自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚)の改善。傷害予防にもつながる。
【カーフレイズ】
バスケにおける効果
シュートやリバウンドの際より高く跳ぶのに役立つ。アキレス腱の弾性が高まるため、ジャンプからの着地後2回目のジャンプで相手より高く跳べる。
②引く動作を鍛える【背中トレーニング】
引く動作を鍛えることで、押す動作を補完し、リバウンドやシュート、ボール操作、ポジションどり、相手をガードする能力を養います。
バーベルやダンベル、ケトルベルなどを扱うことで握力も身に付くので、シュートやリバウンド時に有利になります。
背中のトレーニングで肩と背部を鍛えれば、バスケ動作の安定や怪我予防、機敏で高速な動きにつながります。
おすすめの背中トレーニング
【懸垂】
バスケにおける効果
※難易度が高いため、動作に慣れるまで手幅を狭くする。
リバウンドやディフェンスのプレーをより質の高いものにしてくれる。また、ダッシュに威力がもたらされる。
【インバーテッドロウ】
バスケにおける効果
肩の後ろ側の筋力を向上させ、長距離シュートや相手選手に対するディフェンス能力を高める。
【ラットプルダウン】
バスケにおける効果
負荷を調節できるのがメリットで、ラン動作やリバウンド能力の向上、怪我の予防につながる。コンタクトプレーで自らを守ることにもつながる。
【シーテッドロウ】
バスケにおける効果
ゴールへドライブするときに発生する怪我から身を守るためには、背部の筋が強いことが必要。ペイントエリアでの接触を強くし、スコアリング能力を高める。
【ベントオーバーロウ】
バスケにおける効果
プレーにおける最適なポジションの維持に必要な姿勢を作る。急激なダッシュやストップに対応するための上半身を鍛えられる。
③押す動作を鍛える【胸・肩トレーニング】
バスケは身体の接触が多いスポーツなので、上半身の筋力は重要です。
シュートやリバウンドなど頭上でのプレーも多いので、怪我なく最適なパフォーマンスを維持するためにも筋力とパワーが必要です。
上半身を発達させることで、コート上でのパフォーマンスと筋力、パワーを高めていきましょう。
おすすめの胸・肩トレーニング
【ベンチプレス】
バスケにおける効果
正しいフォームで行うことで、胸・肩前部・上腕三頭筋が強化されより強い上半身がつくられる。
【オーバーヘッドプレス】
バスケにおける効果
正しいフォームで行うことで、肩全体が強化される。立った姿勢で行うため、体幹の安定とシュート・リバウンドに必要な上半身の筋力が向上する。
【インクラインダンベルプレス】
バスケにおける効果
傾斜した姿勢で行うことで、肩前部と大胸筋上部が鍛えられる。チェストパスのスピードやゴール下ポジションをキープするのに役立つ。
【ランドマインプレス】
バスケにおける効果
片腕の動作は肩と体幹の安定性を向上させる。
【クローズグリップベンチプレス】
バスケにおける効果
上腕三頭筋が動員されるため、シュートブロックやボールを奪う能力、相手をかわすための筋力が身につく。また、チェストパスがより爆発的に行えるようになる。
③リングを超える爆発力をつける【パワートレーニング】
爆発的なウエイトトレーニングは、バスケにおいてパワーを生み出すことにつながります。
パワーは相手を追い抜くスピードや相手より高く跳ぶための能力。
次のように表されます↓
パワー(仕事率)=力×距離/時間
爆発的パワーの向上を目的としたエクササイズは、短時間で行うようにするのがポイント。
高速で力を生み出すことができるのは、力の立ち上がり率(RFD)が最も高い時です。
RFDはバスケ上達において絶対的に重要な要素。
高速で筋力を発揮できる選手の方が、筋力は高くても発揮するまでの時間が遅い選手より有利です。
最適なパフォーマンスのためには、トレーニング目的を筋力からパワーへと移行させる必要があります。
おすすめのパワートレーニング
【ケトルベルスイング】
バスケにおける効果
ヒップスラスト(股関節を前方へ突き出す)とトリプルエクステンション(足関節、膝関節、股関節を同時に伸展させる)の習得ができる。走る時やジャンプする時など、爆発的に力を発揮する能力を高める。
【スナッチプル】
バスケにおける効果
ジャンプ能力の改善。爆発的な瞬発力のあるプレーができるようになるための基本エクササイズ。
【クリーンプル】
バスケにおける効果
スナッチプルと似ているが、手幅を狭くすることで強度が変わる。パワーエクササイズの動作を身につけるための基礎要素(技術練習)となる。
【パワースナッチ】
バスケにおける効果
上級者向けのエクササイズ。フォームとバーベルの軌道をマスターするため、最初は軽いバーで行う。爆発的なパワーと全身の筋力を向上させる。肩の安定性と体幹が鍛えられ、ジャンプシュートやリバウンドが安定する。
【床からのパワースナッチ】
バスケにおける効果
バーベルを床に置いた状態から行う最も上級者向けのバリエーション。関節可動域と筋肉の柔軟性をかなり必要とする。床から持ち上げることで、加速能力が向上する。
【パワークリーン】
バスケにおける効果
上級者向けのエクササイズのため、初期段階では軽いバーでフォームを習得する。爆発的なパワーと全身の筋力を向上させ、高くジャンプしたり素速く加速する能力を高める。ジャンプ動作中の接触にも強くなる。
⑤すばやい動きを身につける【プライオメトリクス】
プライオメトリクスは身体能力を向上させるエクササイズの一つ。
筋腱複合体(筋肉と腱は合わさり連帯している)を伸張させた直後、同じ筋腱複合体を速やかに短縮させる運動です。
プライオメトリクスは、「ストレッチショートニングサイクル(SSC)」伸張-短縮サイクルを活用します。
SSCとは、『ストレッチショートニングサイクル』の略です。
ストレッチ…筋肉が伸びる
ショートニング…筋肉が縮む
つまり、サイクル的に筋肉を伸び縮みさせるトレーニング法。
SSCによって、極めて短い時間で大きな力を発生させる能力を高めることができます。
プライオメトリクスでは償却期(いわゆる切り返し場面)が重要で、素早く力強い動作と速度で行う必要があります。
プライオメトリクスは、向上させた筋力をバスケに必要なパワーやスピード能力につなげる役割があります。
おすすめのプライオメトリクス
【タックジャンプ】
バスケにおける効果
高くジャンプできるようになり、リバウンドを取る時の反応をより速くする。基本エクササイズであり、筋力とすばやく反応する能力を高める。
【シングルレッグハードルジャンプ】
バスケにおける効果
レイアップシュートやリバウンド、床を蹴って跳び上がる動作が速くなる。片足でジャンプする際の爆発力をつける。
【デプスジャンプ】
バスケにおける効果
相手を超えてジャンプシュートするのに役立つ。筋力や運動能力に合った高さのボックスを使用する。
【マルチプルボックスジャンプ】
バスケにおける効果
リバウンドやジャンプシュートでより高く跳べるようになり、コート上の動きをより速くする。接地時間を短くすることで、ディフェンダーをかわす能力などが身につく。
【スケーターホップ】
バスケにおける効果
ディフェンダーを抜くためのすばやいカッティングや反応のすばやさが身につく。膝の傷害予防にも役立つ。
【スプリットジャンプ】
バスケにおける効果
一歩目の加速とコート上の走りの爆発性を高める。スクワット動作からすぐ前へ走る動作を加えることで、加速能力とバランス能力が身につく。
【メディシンボールピボットチェストパス】
バスケにおける効果
ジャブステップのすばやさとチェストパスを爆発的に行う能力を改善させる。相手をかわし、シュートの準備を有利にするのに役立つ。
【メディシンボールスラムバーティカルジャンプ】
バスケにおける効果
高くジャンプする能力と全身のパワーを向上させる。ゴールへのドライブ中のパワーと相手より高くジャンプする能力が高まる。
【メディシンボールプッシュアップ】
バスケにおける効果
よりすばやくパスするために役立つ。爆発的な上半身の筋力がつき、リバウンドやルーズボール争いで勝利しやすくなる。
ウエイト・パワー系トレーニングのポイント
- 年齢、性別、病歴(喘息、糖尿病、慢性疾患、筋骨格の不足と異常、手術歴など)を配慮する
- 自分の身体の強みと弱みを把握し、弱点を克服していくことを目的とする
- ウエイトトレーニングは動作スキルや筋力の基盤が必要とされるため、トレーニング歴とエクササイズ知識のレベルも配慮
- 健康状態とトレーニング歴によっては、本格的なトレーニングを開始する前に、基礎的な筋力の獲得が必要となる
回数や時間
10回:筋力向上&筋肥大
5~6回:筋力向上が大きく、筋肥大は少ない
1~3回:最大筋力の向上、筋肥大は最小限
パワー(高速)エクササイズは1セット1~5回に留めましょう。
回数が多いと疲労してフォームが崩れてしまいます。
また、丁寧な動作で行っても負荷が弱い場合は、重りを追加したり重量を伸ばしていきましょう。
タイミング
身体のモビリティや基礎的な動作ができる状態になったとき、ストレングスエクササイズを取り入れましょう。
例えば、股関節が硬い状態でスクワット系種目をやってしまうと、腰で代償動作が発生するのでパフォーマンスは上がりません。
モビリティエクササイズや体幹を獲得した上で、ストレングスエクササイズをトレーニング期や練習前後に取り入れましょう。
また、高速で行うパワーエクササイズは、神経系に対する負担が大きいため高重量を用いたエクササイズの前に行います。
筋力トレーニングの頻度は、通常週3~4日。
競技パフォーマンスを高める+オーバートレーニング(やりすぎ)を防ぐことも考慮します。
コツ
筋力とパワーエクササイズは、どちらか一つをメインとすべきです。
マラソン選手は、同時に重量挙げの大会のためのトレーニングは行いません。
筋力はパワーの基盤。
高速での力発揮を試みる前には、最適な出力のための十分な筋力を構築する必要があります。
ウエイトトレーニングに慣れていない人は、最初の4週間は筋力向上に重点を置きましょう。
これにより、筋肥大も起こります。次の4週間では筋力トレーニングを継続しながら、パワーエクササイズを重視した内容へとシフトするのがおすすめです。
トレーニング中は息を吐き、呼吸を止めないでエクササイズを行いましょう。
丁寧な動作でしっかりと効かせることも忘れずに。